Misandry Blog

ミサンドリー(男性嫌悪)なブログです。

AUNT LYDIA SUX(リディアおばはクソ女)

あまりにも幼い

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10カ月近く放置していた『春名風花さんのエイブリズムを批判する』を今さらアップしたのは、今回の記事を書くにあたって必要だったからです。

その前に、『春名風花さんの~』に少し補足させてください。ワセダクロニクルがシリーズ「強制不妊」を連載しています。 興味のある方はぜひ読んでみてください。

www.wasedachronicle.org

AVが及ぼす影響については、

性暴力の実相・第2部(3) 過激なAV「お手本」に|【西日本新聞】

子どもの性的な問題行動 子どもたちに一体何が|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本

でも詳しく解説しています。

ところで前回に引き続き、わたしは春名風花さんを批判します。それはなぜなのか。春名さんが自身のブログで次のようなことを書いたからです。

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問題のブログは「自分が平気なことでもお友達がされて嫌なことは、お友達にしてはいけません」。批判された箇所はすでに削除されています。わたしがブログを見た時にはもう削除済みだったのですが、5月11日午後11時の時点でさらに修正が加えられています。

とりあえず、画像の文章を書き出してみました。

一枚目

「なぜ#MeToo運動はジャニーズ事務所TOKIO山口達也には文句を言わないのか?」という記事を見ましたが、

これだって別に大した理由じゃありません。

たまたま#MeToo運動に熱心な女性の大半が

「被害者に同情し共感する」という主観的感情で動いていたため、

「自分ならむりやりキスされても嬉しい」

「むしろ強引に迫られたい」

「被害者がうらやましい」

と思うような男性に対しては、そこまで関心を示せない人が多かっただけのこと。

二枚目

気持ち悪いおじさんに、「手を縛っていい?」「おっぱい揉んでいい?」と聞かれるセクハラ音声データ(※実際にはまだ縛ってないし揉んでない)は、きっと誰が聞いてもゾワゾワするから

女性たちの共感を簡単に得られたけど

爽やかなイケメンの国民的アイドルに自宅に呼ばれて襲われることは、

ほとんどの女性(被害者や共演者の高校生を直接バッシングしている人たちを筆頭に、加害者のしたことには触れず被害者の落ち度ばかりを責め立てている女性たち)にとって

強制わいせつどころか「うらやましいこと」ですらあったので、多くの女性の同情や共感は得られなかった。

つまり私達がずっと教えられてきた「自分がされて嫌なことは他人にしてはいけません」という教育の過ちが、ここに来てハッキリと出てしまった。

ブログには当然、以下のような批判が寄せられました。

春名さんはこのように返しています。

あまりにも幼い。わたしが17歳の頃よりはしっかりしていますが、それにしても幼い。

たとえば、『春名風花さんの~』でご紹介しきれなかったこちらのツイート。『ゆらぎ荘の幽奈さん』巻頭カラーイラストへの批判に対してこのように反論しています。

架空の存在である登場人物に謝れ。自分の黒歴史を見ているようでつらくなるんですが、春名さんは現実とフィクションの区別がついていません。

完全に破綻

そもそも、発端となったのは山本一郎氏の「なぜ#MeToo運動はジャニーズ事務所やTOKIO山口達也には文句を言わないのか?」という記事。この記事自体が事実に基づいていません。 

(略)さぞかし #MeToo 界隈も盛り上がっているのかと思ったらお通夜のように静かなわけです。海外メディアで雨傘もって写真に納まっている人も、赤い #MeToo パネル持って声を張り上げていたおばさんがたも、なんでこんなに静かなんでしょう。

「海外メディアで雨傘もって写真に納まっている人」はおそらく、欧米で撮られた写真のことなのでしょう。なぜアメリカ人やヨーロッパ人が、欧米での知名度がゼロのタレントによる性犯罪に抗議しなければならないのでしょうか? ちなみに、BBCは事件を報じています。

Tokio boy band member apologises for kissing schoolgirl - BBC News

「赤い #MeToo パネル持って声を張り上げていたおばさんがた」は野党の女性議員のことなのでしょう。山口達也の事件を警視庁刑事部長が揉み消したり、副総理が「はめられた可能性は否定できない」と発言したのなら、野党の女性議員もおかしいと声を上げます。

春名さんはこの記事を受けて、「たまたま#MeToo運動に熱心な女性の大半が『被害者に同情し共感する』という主観的感情で動いていた」と解説しています。後日、「MeTooタグで発言されている方々についてのものではありません。」と言い訳していますが、完全に破綻しています。

山本氏は記事の中でこのように書いています。

 そもそも #MeToo 運動は米ハリウッドの映画産業で強い立場にあったワインスティーン氏の、ちょっと異常とも言える女性への迫害に声を上げられなかったということで勃発した社会運動のはずです。

正確には、女優のアリッサ・ミラノTwitter上で呼びかけたことがきっかけになって#MeToo運動が始まりました。

「友達にこう言われました。『性的嫌がらせや虐待を受けたすべての女性が『Me too(私も)』と書き込めば、この問題の大きさを人々に知らせることができるのではないだろうか』」。そして「もしあなたが性的嫌がらせや虐待を受けたら、このツイートに『Me too』とリプライして」

【ELLE】アリッサ・ミラノの呼びかけ「Me Too」に、アメリカ・フェレーラもセクハラ被害を告白|エル・オンライン

この呼びかけに対して「#MeToo / #metoo」というハッシュタグが生まれ、大勢の人がタグを使って性犯罪被害を告白するようになりました。女性だけではありません。男性も性犯罪被害を告白しています。

山本氏の記事のタイトルは「なぜ#MeToo運動はジャニーズ事務所TOKIO山口達也には文句を言わないのか?」。主語はSNS上でハッシュタグとして機能する「#」つきの「#MeToo運動」です。

そして、山本氏が非難しているのはなぜか女性だけ。春名さんが非難しているのもなぜか女性だけ。「たまたま#MeToo運動に熱心な女性の大半が『被害者に同情し共感する』という主観的感情で動いていた」は、下に引用した山本氏の主張に便乗しているに過ぎません。

セクハラは良くないですよね。これはこれで大事なことだし、日本でもBuzzFeedが中心になってあれこれ頑張っていたので、何かするんじゃないかと思うじゃないですか。ジャニーズ事務所の大物タレントがやらかしたセクハラなんだから、#MeTooパネルどころか、でっかいうちわとか、火消しが振り回すまといみたいなのも動員して、ノボリ背負ってパレードでもやるのかと思って期待してみていたのに、記者会見も特になく、デモ行進するでもなく、ネットに溢れる声は「イケメン無罪」とか「憔悴している山口さん可哀想」などと話が違う。全面的にだ。

SNS上で使われるハッシュタグとその使用者への非難。「MeTooタグで発言されている方々についてのものではありません。」という言い訳。両者はまったくつながっていません。完全に破綻しています。

これがフェミニズム、これが#MeToo運動

ようやく、「AUNT LYDIA SUX(リディアおばはクソ女)」についての説明です。この言葉はHuluで配信中の『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』に出てきます。

www.happyon.jp

マーガレット・アトウッドの小説『侍女の物語』が原作のこのドラマは、知識階級がコロニー送りになったり、同性愛者が処刑されるギレアド共和国が舞台です。キリスト教原理主義者によって支配される前はアメリカ合衆国という名前でした。

主人公のオブフレッドは「侍女」として月に一度、権力者の男性から厳かにレイプされます。出生率が低下した世界で、「侍女」は子供を産むことが使命です。「おば」から教育を施された「侍女」は、「産む機械」として特権階級の各家庭に配られるのです。

「AUNT LYDIA SUX」はシーズン1第4話に登場します。トイレの個室にそれぞれ入ったオブフレッドと友人のモイラが、小さな穴を介してやりとりします。

画像の左の女性がオブフレッド、右がモイラです。

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オブフレッド「もうすぐ配属される」
モイラ「配属? クソおばみたいな言い方」
オブフレッド「外に出られる」
モイラ「だから? 外のほうが悲惨かも。無理やり代理母かなんかやらされんでしょ」
オブフレッド「アルマが大袈裟に言ってるだけ。本当のところはわからない」
モイラ「察しはつくよ。あたしらみんな、ジジイの精液が入ったスポイトをあそこに突っ込まれて、お国のためとかいって子供産まされんの。マジ最高」
オブフレッド「何してるの?」
モイラ「(個室の壁に文字を彫りながら)リディアおばのリディアってどう書くっけ」
オブフレッド「もう。やめなよ」
モイラ「トイレでの読み物にちょうどいい」
オブフレッド「バレたら手を切り落とされる。リスクを冒す価値ない」
モイラ「いや、あるね。あたしらがここを出たあと、別の子が来てこれを読んだら一人じゃないって思える」

このあと、壁に彫られた「AUNT LYDIA SUX(リディアおばはクソ女)」がアップで映し出されます。

『ミサンドリーのすすめ【補足】』でわたしは、「憎悪に疲れて途方に暮れていた時、『自分は一人じゃない』と気づかせてくれたのがフェミニズムです。」と書きました。

まさにこれです。モイラの彫った「AUNT LYDIA SUX」。これがフェミニズム、これが#MeToo運動なんです。

山本氏はこの日本で「侍女」を厳かにレイプする特権階級の男性のつもりなのかもしれません。春名さんは「侍女」を教育する「おば」のつもりなのかもしれません。

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』はすべての女性に呼びかけます。

「女たちよ、奴らに虐げられるな」