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Misandry Blog

ミサンドリー(男性嫌悪)なブログです。

映画『Hidden Figures』の日本公開を祈念して

It's because we wear glasses.

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https://www.nasa.gov/image-feature/katherine-johnson-at-nasa-langley-research-center

現在、アメリカで公開中の映画『Hidden Figures』は2週連続で全米興行成績1位を記録しています。日本ではまだ公開が決まっていません。なぜ。

前回に引き続き『わたしは藤沢数希が6歳児であることを証明しようと思う。』シリーズの➂をアップするつもりでしたが、ちょっと横道にそれて『Hidden Figures』の日本公開を祈念したいと思います。

アメリカ人として初めて地球の軌道を周回した宇宙飛行士、ジョン・グレン。彼を支えたのはNASA(1958年まではNACA)で働く3人のアフリカ系アメリカ人女性でした。この映画は、2015年に大統領自由勲章を授与された数学者、キャサリン・ジョンソンとその同僚、ドロシー・ヴォーン、メアリー・ジャクソンの活躍を描いた物語です。

主要登場人物が実在の女性科学者3人と知った時点でものすごく気になっていたんですが、このシーンを観て面白いに違いないと確信しました。

眼鏡をかけている女性がタラジ・P・ヘンソン演じるキャサリン・ジョンソンです。以下はキャサリンのセリフの日本語字幕。WOWOWの無料番組『Hollywood Express』からの引用です。

実を言うと 私―
ウェストバージニア大卒の黒人女性 第一号です

今まで毎日―
排気や摩擦に関する速度測定を研究して―
1万通りの計算をやりました

だからNASAは女性を選んだんです

色気のせいじゃない

頭がキレるからよ

『Hollywood Express』は会員登録をすれば、未加入でもWOWOWメンバーズオンデマンドで視聴することができます。

話を戻します。「色気のせいじゃない 頭がキレるからよ」の部分、英語では「And it's not because we wear skirts. It's because we wear glasses.」と言っています。スクリプトはこちらのインタビュー記事から。

www.npr.org直訳すると、「スカートをはいてるからじゃない 眼鏡をかけてるからよ」。「It's because we wear glasses.」と言った直後にキャサリンが眼鏡をくいっと上げるんですが、これがかっこいい。

1953年の映画『百万長者と結婚する方法』では、マリリン・モンロー演じるポーラが近眼にコンプレックスを抱いています。彼女はモテを優先して男性の前では裸眼で通します。

キャサリン・ジョンソンがNACAに就職したのは『百万長者~』が公開された1953年。公民権法制定は1964年。アフリカ系アメリカ人の人権など存在せず、女性はマリリン・モンローのようにトロフィーとして扱われていた時代に「It's because we wear glasses.」って言うんですよ。めちゃくちゃかっこよくないですか。

メアリー・ジャクソン役のジャネール・モネイは、『Hollywood Express』内のインタビューで「人種や性別を差別していたら偉業は達成できないわ」*1と話しています。

ほんとそれな。差別の煮こごりのような日本が滅亡に向かってまっしぐらなのも自明の理。もちろん、ジャネールのコメントはアメリカに対してのものですし、ハリウッドにも依然、差別は存在しています。

男優と女優の賃金格差もそうですが、登場人物の重要度も性別によって変わります。

variety.co.jp

サンディエゴ州立大学のテレビと映画における女性研究センターの調査によると、興行収入ランキングでトップ110に入る映画を詳しく調査した結果、女性主人公の割合は22%、主要な役における女性の割合は34%、それ以外の、セリフがある役における女性の割合は33%であった。女性主人公の割合は昨年より6%ほど上昇し、直近において高い数値となった。また、主要な役とセリフのある役の女性の割合は、それぞれ5%と3%上昇した。

これは2015年の結果ですので、2014年の女性主人公の割合は16%です。たったの16%。「直近において高い数値」でも、たったの22%。

また、Variety Japanの記事タイトルにもあるように、22%の女性主人公のほとんどは白人です。有色人種の女性は主人公になれない上、キーパーソンを割り振られる確率もぐっと下がります。

同センターの調査によると、最近、オスカー受賞者が論争やボイコットの動きを見せた流れがあるように、主要な女性キャラクターの多くが白人であったという。人種の多様性が欠けている証拠として、女性キャラクターの人種の割合は、昔とほとんど変わらなかった。

 

(略)

 

黒人系、ラテン系、アジア系の女優によって演じられた役の中で、作品にとって重要だった登場人物は27%に過ぎず、一方、白人女優によって演じられた役のうちの38%は重要な役回りであった。

このようなハリウッドにおいて、『Hidden Figures』が作られたことがいかに画期的であるか。しかも、拡大公開されたら17位から1位にジャンプアップして次の週も首位をキープ。

キャサリンたち3人が映画になったのは、まさに「And it's not because we wear skirts. It's because we wear glasses.」だから。頭のよさで偉業を成し遂げたからなんです。

ちなみに、キャサリンは御年98歳。バージニア航空宇宙センターで行われた『Hidden Figures』のプレミアに出席しています。(左の女性はドロシー・ヴォーン役のオクタヴィア・スペンサー

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https://www.nasa.gov/image-feature/hidden-figures-premiere-and-award-ceremony-0

 

 

 

藤沢数希や恋愛工学に興味のある方はこちらをどうぞ。

misandry.hatenablog.com

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*1:日本語字幕より