読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Misandry Blog

ミサンドリー(男性嫌悪)なブログです。

わたしは藤沢数希が6歳児であることを証明しようと思う。②

恋愛工学

主人公=尊師

f:id:misandry:20161222223806p:plain

この記事は『わたしは藤沢数希が6歳児であることを証明しようと思う。』の続きです。前回と合わせて読むことをおすすめします。

misandry.hatenablog.com

不思議なことに、尊師の処女小説『ぼくは愛を証明しようと思う。』(以下『ぼくは~』)には、主人公の外見描写が一切ありません。外見だけではなく、家族構成もまったくわかりません。物語の後半にはこんな一節が出てきます。

p.341

 刑事コロンボは、誰が何をしたかより、誰があるときに何をしなかったか、に注目してときに犯人を暴き出す。

わたしも刑事コロンボにならって、尊師が主人公にまったく肉付けをしなかった点に注目したいと思います。

真っ先に思いつくのは、小説を書くだけの技術がまるでないから。まあ、これが理由の93%ぐらいを占めているんでしょうね。ただ、「書かない」とは「書く必要がない」ということ。つまり、尊師にとって主人公は自分そのものであるため、わざわざ説明する必要性を感じなかったのではないでしょうか。

たとえば、『ぼくは~』の主人公は「男子校」(p.15)出身です。ツイートを検索すると、尊師が男子校の内実にとても詳しいことがわかります。

男子校はスクールカーストがないようです。なぜ断言できるのでしょうか。また、「男子校出身者は短命」というcakesの記事に食いついています。

「@kazu_fujisawa 女子校」で検索すると、上の「スクールカーストがない」というツイートが1つ、「共学」で検索すると「非モテなら共学」というツイートが1つヒットします。どちらも男子校の話題のおまけです。「男子校」の総ツイート数は7です。

尊師は男子校(のおそらく進学校)出身なんでしょうね。わかりやすい。

もちろん、「主人公=尊師」だと考える根拠はツイートだけではありません。『ぼくは~』には東京のオサレなレストランやクラブが頻繁に出てくるのですが、とにかく説明がない。何もない。

六本木だの銀座だのの描写は「キラキラしている」「キラキラしていた」で終わり。スッカスカの内容なのに「キラキラ」は全編を通して8回も出てきます。「キラキラ」使いすぎ。

東京がキラキラしているように感じるのは、尊師が地方出身だからではないでしょうか。生まれた時から東京にいるとキラキラしているとかいちいち感じないんですよね。

「主人公=尊師」だと思う理由はまだあります。2014年に27歳の主人公は1987年生まれ。そんな主人公のモノローグがこちら。

p.12

決戦の金曜日だ。

これ、あれですよね。ドリカムのヒット曲ですよね。DREAMS COME TRUEの『決戦は金曜日/太陽が見てる』が発売されたのは92年。主人公は5歳。自分が5歳の時に何がヒットしてたかなんて、わたしは覚えてないな~。

p.25では、NECの本社ビルについて思い入れ深く語っています。

 1980年代にはPC-98シリーズが大ヒットし「国民機」とまで呼ばれ、半導体生産でもこの会社は世界1位となった。スーパータワーはそんな絶頂期に建てられたものだ。しかし、インテルのCPUとマイクロソフトのウィンドウズを搭載したPC/AT互換機が、急速に世界市場でシェアを拡大し、PC-98シリーズは破れ去る。最近ではガラパゴス携帯でやはり時代の袋小路に入ってしまった。いまのこの会社には、巨大な自社ビルを建てたころの面影はない。

詳しいな。何歳だよお前。主人公はパソコンオタクではありませんし、この説明が伏線としてのちのち活きてくるということももちろんありません。

しかも「破れ去る」。正しくは「敗れ去る」です。国民的キャラクター・ピカチュウが「ピカチュー」(p.107)だったりもします。商業作品なら普通、編集者や校閲の人がチェックすると思うんですが。チェックするだけの価値がないんですね、わかります。

また、第5章のタイトルが「Aを狙え」なのも時代を感じる。これ、あれですよね。往年の名作スポーツ漫画『エースをねらえ!』ですよね。尊師のお年は40代後半~50代前半なのでしょうか。

尊師はモテる男性が大嫌い

以上のことからもわかるように、主人公は尊師です。中身がだだ漏れです。尊師の出身地もだだ漏れです。静岡県のおそらく伊豆半島です。なぜわかるかというと、第6章「星降る夜に」で伊豆の説明がくどくどと続くからです。下は第6章から。

p.346

 電車が走り出すと、また雑木林の中に入っていった。いくつかのトンネルをくぐり抜け、雑木林が途切れ、眺望が開けた。電車の窓から、海沿いにできた小さな町と青い海が見えた。その日はよく晴れていて、海の向こうの大島がはっきりと見えた。電車は、また雑木林に入り、トンネルに入り、また雑木林の中を走っていった。

くどい。駄文すぎて脳が死ぬ。

こちらはナンパの師匠・永沢と初めて出会った場所の描写。

p.120

 僕たちはヒルズの蜘蛛のオブジェの広場から、六本木通りのほうにエスカレータを下りた。そして、バーに入る。僕が永沢さんを見つけた、あの運命のバーだ。

 それほど混んでいなかったけれど、女の子は10人ぐらいはいた。

運命のバーとか言うんならもうちょっと頑張って書けよ。

ということで、ピンポイントに伊豆半島出身ではなくても、尊師はその近辺の生まれでしょう。高校は進学校として有名な男子校。「恋人はおろか女友だちすら存在せず、(略)流行りのテレビゲームに熱中していた」(p.15-16)青春時代。高校卒業後は「東京の(略)大学に進学」(p.16)。「レポートを忙しく書いていた」「僕」とは違い、「テニスサークルで女たちと充実した日々を過ごしていた」(p.16)男子学生を羨ましく思っていました。

鬱屈した青春時代を送ったせいでしょうか、尊師はモテる男性が大嫌いです。なぜなら、永沢は「男性」(p.13)、石田というエンジニアも「男性」(p.308)、「頭のハゲた中年」(p.320)も「男性」、「若いイケメン」(p.320)は「男」。露骨すぎる。

ツイートも露骨です。

自分は屈折していたおかげで大成できたと言いたいのでしょうか。

「虫けら」。実感がこもっていますね。

ここでちょっとお断りしておきますが、プロの書いた小説で生い立ちを推測しても意味はありません(作者が内面や過去をさらけ出す私小説をのぞく)。『ぼくは~』は尊師の文章や技術が小学生レベルであるが故に、生い立ちが容易に推測できる稀有な作品なんです。

尊師はTwilog も公開していますので、気になる単語があったら検索してみてくださいね。「わたしは証明しようと思う。」シリーズはまだ続きます。では、次回。