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Misandry Blog

ミサンドリー(男性嫌悪)なブログです。

『ぼくは愛を証明しようと思う。』を読んでみた

こじらせ男子 うさぎボーイ 性欲ゾンビ 恋愛工学

イカ臭い中二病黒歴史小説

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恋愛工学の教祖様、藤沢数希氏が満を持して発表した処女小説を読んでみました。無料で読めるchapter1-1から1-6まで。(恋愛工学とはバブル紀に書かれた古文書かと二度見するような恋愛マニュアルのことです)

cakes.mu

Amazonで確認したんですが、藤沢数希氏は今まで経済やら原発やらの書籍だけ出版されていたんですね。なんでこんなに下手くそな文章を書くんだろうと不思議だったんですが、小説の執筆経験が一切ないということで納得しました。

『ぼくは愛を証明しようと思う。』は初心者の書く典型的な「ダメ小説」です。わたしは心がとてもせまいので、イカ臭い中二病黒歴史小説に税込1,512円(Kindle版は税込1,120円)なんて大金は、とてもじゃないですが払えません。

いやー、この小説にオーバー1000円をぽんと出された方は素晴らしい!偉い!神! 

なぜ、「ダメ小説」なのか

『ぼくは愛を証明しようと思う。』は唐突にセリフから始まります。

 プロローグ

 

「バーで話しかけたショートカットの女子大生はどうなった?」

 

「最初のディナーで仕掛けたイエスセットが上手くいきました」と僕はこたえた。「僕の家に誘ったら、あっさりとイエスでした」

最初にしゃべってるのは誰? そいつと会話をしてる「僕」も誰? 日本人? 若者? 年寄り? 性別は男性でいいのかな? 舞台は日本? 外国?

ごめんね~、作者の脳内映像って読者には見えないんだよね~。初めて小説を書いてヘブン状態になっちゃったのか、そっかー。

承前

「ナースの女は?」

 

「クラブで数当てマジックルーティーンが決まった娘ですね。週末にカフェで会って、Cフェーズをクリア。あとはいつものDVDルーティーンで、難なく連れ込めました。最終抵抗もまったくありませんでした」

そっかー、意地でも地の文で説明したくないかー。困ったな。

承前

「もうひとりクラブでいい感じになってた女がいたよな。誰だったっけ、読者モデルの……」

 

「麻友だったら昨日の夜の11時に、一言メッセージ送ったら、すぐに僕のところにすっ飛んできましたよ」と僕は言って、携帯に入っていたメッセージのやりとりを見せた。「完全にトリガーが引かれてますね」

ここでようやく謎会話が終了。「一言メッセージ」の前に「LINEで」がついていれば、2011年~現在が舞台ってわかったんだけどな。イカ臭さで息ができないよ、ママン。

お手元に小説の本をお持ちの方は、ぜひ冒頭に目を通してみてください。どんな小説であろうと、まず「時代・場所・登場人物」をはっきりさせてから物語が進んでいきます。

ちょうど手元に『11ぴきのねことぶた』があるので、冒頭を引用してみますね。

11ぴきのねこが たびにでました。

11ぴきのねこのくるまは いなかのみちを どこまでも はしっていきました。

2つのセンテンスだけで登場人物が11匹の猫であること、車に乗って田舎の道を走っていることがわかります。

11ぴきのねことぶた

11ぴきのねことぶた

 

絵本ですので、表紙を見れば「11匹の猫が車に乗って田舎の道を走っている」情景は一目瞭然なんですが、絵本の主役はあくまで文章のリズムです。優れた作品は読者を混乱させません。

スタートが地の文ではない小説ももちろんあります。下記は藤沢周平の短編『夜の雷雨』の冒頭です。

「これが家賃でな、こっちが食い扶持だ。まちげえねえようにしな」

 弟の松蔵は、巾着の中から、すでに包んである紙包みを二つ出して、おつねの膝の前に押してよこした。

「食い扶持」を「巾着」で渡す「松蔵」という人物が出てきた時点で、舞台が江戸時代の日本だとわかります。しかも、「松蔵」が視点人物(語り手ポジション)の弟だということもすぐに判明します。

このようにエンタメ小説の場合、セリフからスタートさせても1行、多くて2行程度で状況説明に移ります。お金を出して買ってもらう小説で独りよがりのオナニーを公開すると、作家は職を失ってしまうんです。びっくりですね。

神隠し (新潮文庫)

神隠し (新潮文庫)

 

藤沢数希氏は「会話から始まる小説ない!自分すごい!」と有頂天なのでしょうが、誰も実践していない手法を発見すると、「俺パイオニア!」と現実が見えなくなるのは、初心者特有の症状です。商品として通用しないから誰もやっていないだけなんです。

しかし、どんなにイカ臭い小説でも、信者のみなさんがわざわざお金を出して買ってあげるんですから、教祖様は愛され体質ですね♡ 教祖様の駄文を信者がありがたがって買う構図はカルト宗教そのものです。

地 下 鉄 に サ リ ン 撒 く の ?

0.05×9=0.45

そうえいば、麻原彰晃は自分の精液を信者に買わせていましたね。

モテ=ヒットレシオ×試行回数

これも精液みたいなものですね。ヒットレシオとは確率のことだそうです。上記は作中で「永沢さん」というラブの師匠が、トレンディドラマの登場人物のように披露する恋の方程式です。

『ラブエンジニアリング!~あなたとわたしで始める恋の方程式~』ってタイトルでギャルゲーにしてアニメ化して劇場版も作りましょう。キャラソンもバンバン出せば大儲け間違いなし!

そもそも、恋愛が方程式で簡単にクリアできるなら、人類はとうの昔に永遠の悩みもクリアしています。仏教が誕生して2500年、キリスト教が2000年、イスラム教が1400年。なぜ、人類の悩みは解決しないんでしょう? なぜ、生きること、死ぬこと、恋をすることはとてもつらくて苦しいんでしょう? もしよろしければ、方程式で人類を救っていただけませんか?

っていうか、作者は小説を売り物として発表するからには、文章力・表現力が上達する方程式とやらを研究して実践すべきですよね。めんどくさい? じゃあ、わたしがお手伝いしてあげますね。

まともな小説=ヒットレシオ×試行回数

藤沢数希さんのような欲求不満の平凡な男のヒットレシオは、試行回数の定義にもよるが、10%も行けばいいほうだ。それからまともにトライできる小説の数は、年に0.5本ぐらいってとこだな。

そうすると1年当たりに完成させられる小説の期待値は、10%×0.5=0.05本。あなたはトレンディドラマの登場人物のようにセンスが古いので、バブル世代の40代後半ですね。最初の著作が発売されたのが2006年。いい大人が出版市場に曲がりなりにも参戦して、9年目ってことか。0.05×9=0.45だから、大体も何もなく0か。

藤沢数希さん、生まれてから今までに完成させた小説は1本もないでしょ? 『ぼくは愛を証明しようと思う。』は小説ではなく、構想ノートです。まずは習作50本にトライだな。1年? 1日に50本だよ。

ほんと、なんで小説として発表したんだろ、この人。

しかも、作者はドヤ顔で「イエスセット」「マジックルーティーン」「Cフェーズ」という「ひみつのあんごう」を頻出させているんですが、今年中学校に上がったばかりなのかな?

その昔、小学3、4年生の頃、同じ班の男女4人で部外者には意味のわからないあだ名を互いにつけあってキャッキャ、キャッキャ喜んでいたことを思い出しました。懐かしい…。

あ、作者が中学生という表現は褒めすぎでしたね。小学生です。作者の僕は小説を書くためのハウツー本をお母さんに買ってもらおうね。お姉さんとの約束だよ☆

わたなべに知能を

そうそう、主人公はわたなべという弁理士をしている26歳の独身男性です。

chapter1-3

やはり仕事はがんばれば裏切らない。

ほんとに26歳の社会人? この主人公、麻衣子という恋人に浮気されて捨てられた挙句、30万もするバッグを貢がされて再び捨てられるんですが、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』を観たことによって感化され、留守電にメッセージを残します。

chapter1-3

「今日は久しぶりに会えてすごく嬉しかったです。僕はもちろんいまでも麻衣子のこと好きです。大好きです。啓太の結婚式ではじめて麻衣子を見たときから、すぐに好きになりました。それからいっしょにご飯を食べに行ったり、花火大会に行ったり、楽しいことがいっぱいあったね。これからもずっと、ずっといっしょにいたいです。連絡待ってます」

なるほど。

chapter1-1冒頭、「僕」と会話をしていた謎の男性は科学者で、知能が人並み以下の主人公を手術で賢くしてあげるんですね。『アルジャーノンに花束を』はわたしも大好きな作品なので、正直、劣化版なんて書いてほしくなかったな~。

と思っていたら、chapter1-4で主人公が読んでいる文庫本が『アルジャーノンに花束を』でした。リスペクトですね、わかります。

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

 

あとさー、作者にとってはどうでもいいことなんだろうけど、chapter1-1で登場する主人公の上司「青木さん」の性別が判明するのが、chapter1-3になってから。

ミソジニー女性嫌悪)な日本社会で、女性が国際特許事務所の所長である確率は悲しいことにとても低いものです。必然的に「青木さん」は男性なのだろうとわかるんですが、スーツなり髪型なりひげの状態なり、登場と同時に説明しろや。

小説書けないんだからビジネス書形式で発表すればいいのに。

グランドスラム取れたで賞

それと、これも「ダメ小説」の典型なんですけど、『ぼくは愛を証明しようと思う。』って出来事をだらだら書いてるだけなんですよ。朝起きて朝食を食べて電車に乗って出勤して仕事をして昼食を食べてまた仕事をして夕食を食べる。

小 学 生 の 作 文 か

知能が6歳児並みの主人公なので、物語が佳境に入るまで我慢しないといけないんですよね。手術を受けたらまともな地の文になるんですよね。なりますよね? お願いだからなると言って!

しかし、主人公は知能が6歳児並みでも、性欲だけは一人前。

chapter1-6

「永沢さん、僕、永沢さんみたいに、女に求められたいです。セックスがしたいです!」

「あきらめたらそこで試合終了だよ」「永沢先生…!セックスがしたいです……」

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

で、なんだっけ。この主人公、行動原理がひたすら「孤独はいや!寂しいのはいや!」なんです。孤独を癒す道具として、またリア充アピールで他人を見返す道具として、彼女をゲットしたいと四六時中考えています。

寂しくて死んじゃう(>_<)誰でもいいからそばにいて(>_<)お金払うから(>_<)

これ、女性だったら「メンヘラビッチ」って陰口叩かれるレベルですよ。

寂しくて寂しくて震えるのは、ガラスのハートの持ち主であるうさぎボーイならではですね。chapter1-1冒頭、謎会話が終了した直後に出てくるセリフ、「この東京の街は、僕たちのでっかいソープランドみたいなもんですね」からもわかる通り、主人公はすっかり女性への憎悪をこじらせ、ジュリアン・ブランク氏のような最悪の事例になるべく邁進しています。

こじらせ男子でうさぎボーイ、なおかつ性欲ゾンビ。主人公にはグランドスラム取れたで賞を差し上げます。

このブログを初めて読む方のために、性欲ゾンビのキャラシートを貼っておきますね。

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めざせ、マザーファッカー☆

非常に不思議なことに、主人公は麻衣子の言いなりになるという高度なプレイを楽しみながら、彼女が浮気をすると「裏切られた!」と怒ります。麻衣子の望むままに30万のバッグを貢いだのは主人公です。女王様に仕える奴隷を率先して演じていました。

職場の後輩、美奈に資格試験の勉強を手伝ってくれと頼まれ、二つ返事で了承するのも主人公。仕事を終えたあと、無料で家庭教師を務めます。家庭教師という名称は主人公が好んで使っているのですが、職場のデスクで美奈からの質問に答えるだけです。

自由意志で行動したにもかかわらず、麻衣子が音信不通になると「裏切られた!」、美奈に彼氏がいるとわかると「裏切られた!」と怒ります。

chapter1-3

気が付くと、麻衣子は僕の人生から完全にいなくなっていた。(中略)いままで誠心誠意尽くしてきた人(注・僕)に対して、とても残酷な仕打ちに思えた。

 

chapter1-4

美奈もさんざん僕を利用したあげくに、何も与えてくれなかった。

ごめん。頭、大丈夫?

「誠心誠意尽くしてきた」と本人は言っていますが、麻衣子の意志を確認せずに心の中で結婚を決め、言われるがままに金品を貢いでいただけです。相手が麻衣子じゃなくてもいいんですよね。孤独な自分を愛してくれて股を開いてくれるなら誰でもいい。ただし、それなりの外見に限る。

物語開始すぐに麻衣子の浮気が発覚するんですが、彼氏が自分の人格を見ずに金品だけを貢ぐような男性なら、二股かけちゃう気持ちも、まあわかる。別れろよって感じですけど。

主人公が求めているのは麻衣子ではなく、セックスができるお母さんです。どこの馬の骨ともわからない女性に金品を貢ぐくらいなら、お母さんに全身整形手術を受けてもらって、処女膜も再生してもらって、思う存分セックスすればいいんじゃないかな。めざせ、マザーファッカー☆

話は戻りますが、美奈に対する「さんざん利用したあげく」という言い草ももはや正気とは思えない。ストーカー行為をエスカレートさせた結果、殺人事件を起こすタイプ。

利用されたくないなら自分の意志を示せばいいと思うよ。

「30万もするバッグなんか買えないよ」「自分の仕事で手いっぱいだから家庭教師をする余裕はないんだ、ごめんね」って説明すれば済む話だよね?

自分のお口で説明できなかったのは、30万や家庭教師としての労力を犠牲にしてセックスをしたかったから。女性はみんな金品を渡せば股を開いてくれる売春婦だと思っている主人公のこじらせっぷりは末期です。治りません。

ところで、社会人の主人公は他者が自分の思い通りに動かないと、「裏切られたっ!裏切られたっ!ムキーっ!」と腹を立てます。知能が6歳児並みだと、自分と他者がまったく別個の存在であることがわからないんですね。

見た目は大人、頭脳は子供。その名は恋愛工学教祖、藤沢数希!違った。わたなべまさきとかいうこの小説の主人公!

文字がピンクなのは、恋愛工学というファンタジーを信じる藤沢数希氏の脳内がピンクだから。どうでもいい情報ですね。これが独りよがりです。

うさぎメンタルの主人公は、常に「傷つきたくないよぉ(>_<)」と怯えています。自分からアクションを起こす真似は絶対にしません。

かわいい店員さんに話しかけられて知り合いになるチャンスが生まれたのに、傷つきたくないがために、その店を二度と訪れなくなります。

まさに『世界の中心で愛を叫んだけもの』。けものであるが故に、人間とコミュニケーションを取ることができません。けものにしか通じない言語で、「僕ちんかわいそう!僕ちんかわいそう!愛して愛して!」と叫んでいます。

しかも、自らチャンスをふいにしたくせに、「それだったら、素敵な思い出のまま、彼女(注・店員)が僕の心の中にずっと住んでいてくれたほうがいい」「僕は誰からも愛されることなく、ひとりで生きて、そして死んでいくのかもしれない」と自分の不幸っぷりに自分で酔って興奮しています。

最悪ですね。

奴隷プレイ愛好者向け上級ハウツー本

記事をコンパクトにまとめようと思っていたんですが、無駄に長くなってしまいました。ほんと、ツッコミ出したらきりがない。

いや、だってさ、主人公は女友達が過去にいたけど、「男である僕が一方的に何かを与え続けるわけで、対等な関係というものではなかった」とか言ってんですよ?

ドMなの? 奴隷プレイがお好きなの? 金品を求められたら断ればいいよね? カツアゲされたら通報すればいいよね? てか、それ友達じゃないよね? 男友達に一方的に何かをクレクレしたことなんて、わたしの人生で一度もないんですが、マジでどういう世界で育ったの? ごめんなさい、全然理解できません。

でも、chapter1-1のタイトルが『幸せだった日々』なんですよね。やはり主人公はドMで、友達や恋人のふりをした女性にカツアゲされるのが究極の幸せなんですね。そこは個人の価値観の違いですよね、すみません。

あ、あと、そうそう。chapter1-2にベッドシーンが出てくるんですが、エロは見せ場であるにもかかわらず、読者にとってどうでもいい食事シーンと書き方やテンションがまったく同じ。きつい、これはきつい。

ベッドシーンだけではなく、主人公の弁理士としての優秀さを描写する場面でも、「この論文」「あるベンチャー企業」「あるバイオ企業の主力製品」といった感じで、あっさり展開していきます。

いや、そこ説明しろよ。どんな論文なの? どんなベンチャー企業なの? どんな主力製品なの?

もしかして、難しい話は「一般国民は残念だが理解しない」って思ってる? エンタメ小説は専門的な話をすればするほど売れるって知らない? ガリレオシリーズやバチスタシリーズも知らないかな?

じゃあ、井上ひさしのこの言葉も意味がわからないか~。

むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに

難しいことをやさしく伝えるためには、とてもつらくて苦しい「自分の頭で考える」作業を経なければなりません。だから、パスしたくなる気持ちもわかります。ただ、藤沢数希氏がやっていることは手抜きです。

読者を選ぶ「奴隷プレイ愛好者向け上級ハウツー本」なのに、内容が手抜きってすげー。売る気あるの?

 

 

 

こじらせ男子、うさぎボーイ、性欲ゾンビについてはこちら。

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