Misandry Blog

ミサンドリー(男性嫌悪)なブログです。

「HINOMARU」より「戦友」のほうが萌える

他の兵士にたいするはげしい愛の感情

f:id:misandry:20180617233429j:plain

RADWIMPSが6月6日に発表した「HINOMARU*1という曲が世間で話題でしたね。

RADWIMPS衝撃の愛国ソング「HINOMARU」を徹底解剖する(辻田 真佐憲) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

「自分の霊魂に尊敬語の『御霊』かよ」というツッコミはネット上でもさんざん見かけましたが、わたしは「この身体に流れゆくは気高きこの御国の御霊」もすごく気になる。「御霊」は流れていくんですね。留まらない。「この」使いすぎ。

「僕らの燃ゆる御霊は挫けなどしない」もむずがゆい。「御霊」ってくじけるの? まあ、人によっては霊魂もくじけるのかもしれません。

わたしが「HINOMARU」の歌詞を読んで感じたことは、「『戦友』って軍歌のほうが100倍萌えるな~」でした。とてもBLなんです。というわけで、今回は「戦友」をご紹介したいと思います。「戦友」というタイトルだけでも覚えて帰ってくださいね。

ここは御国を何百里 / 離れて遠き満州

赤い夕陽に照らされて / 友は野末の石の下
思えば悲し昨日まで / 真っ先に駆けて突進し
敵を散々こらしたる / 勇士はここに眠れるか
ああ戦いの最中に / 隣におりし我が友の
にわかにはたと倒れしを / 我は思わず駆け寄って
軍律厳し中なれど / これが見捨てておかれうか
「しっかりせよ」と抱き起し / 仮包帯も弾丸(たま)の中
おりから起こる吶喊(とっかん)に / 友はようよう顔上げて
「御国(おく)のためだ構わずに / おくれてくれな」と目に涙
あとに心は残れども / 残しちゃならぬこの体
「それじゃ行くよ」と別れたが / 永の別れとなったのか
戦い済んで日が暮れて / 探しに戻る心では
どうか生きていてくれよ / 物など言えと願(ねご)うたに
むなしく冷えて魂は / 故郷(おくに)へ帰ったポケットに
時計ばかりがコチコチと / 動いているも情けなや
思えば去年船出して / お国が見えずなった時
玄海灘で手を握り / 名を名乗ったが始めにて
それよりのちは一本の / 煙草も二人でわけてのみ
着いた手紙も見せおうて / 身の上話繰り返し
肩を抱いては口癖に / どうせ命はないものよ
死んだら骨を頼むぞと / 言い交わしたる二人仲
思いもよらず我一人 / 不思議に命永らえて
赤い夕陽の満州に / 友の塚穴掘ろうとは
くまなく晴れた月今宵 / 心しみじみ筆とって
友の最期を細々と / 親御へ送るこの手紙
筆の運びは拙いが / 行燈(あんど)の影で親たちの
読まるる心思いやり / 思わず落とすひとしずく

戦友 (軍歌) - Wikipedia

「戦友」は1905年に作られました。歌の舞台は日露戦争です。『男色大国日本』でもご紹介しましたが、軍隊では男色が日常茶飯事でした。

こちらの春画は「ロシア兵と日本兵」(1904-05年/作者不詳/大英博物館蔵)。

f:id:misandry:20180619194939j:plain

(画像はデイリー春画より)

この春画が掲載されている『男色の日本史』(ゲイリー・P・リュープ/藤田真利子 訳/作品社)では、こう書かれています。

 確かに、徳川時代を思わせる「兄弟の契り」や指切りや暴力的な争いを伴い、役割構造を持つ同性愛という意味での男色は、明治時代の学校や軍隊で生き延び、栄えさえした。

『軍隊と男色:カストリ雑誌に残された帝国軍人の記録』(叶誠人/Kindle版)では、日露戦争に従軍した経験のある綿貫六助という元エリート軍人のエピソードが紹介されています。

たとえば、30歳以上年の離れた大佐が浮気をしたので自殺未遂をしたり、痴情のもつれからその大佐を殴って除隊したり、自分の子供に恋人のおじいさんを引き合わせたり。

『武士道とエロス』(氏家幹人/講談社現代新書)では、明治時代に出版された民俗学者フリードリヒ・クラウスの著書に掲載されている日本のいち政治家の証言が引かれています。

 同書はまた「われわれは、たくさんの兵士が腕を組み、手に手をとって通りを通るのを見かける」とも証言している。

クラウスによると、日清日露戦争日本兵が死を恐れずに戦えた理由は、「戦闘精神や、死を軽んずる考えの発露ではなく、他の兵士にたいするはげしい愛の感情からなされたものでもある」のだそうです。

話はそれますが、日露戦争で戦った実体験をもとに『肉弾』を上梓した櫻井忠温は、旧制中学時代に夏目漱石から「級中一の美少年」と評されています(『男色の景色』丹尾安典/新潮社)。

「戦友」の二人も普通にできていたんでしょう。

RADWIMPSの作詞作曲を担当する野田洋次郎氏には、ぜひ日本の伝統と歴史(と日本語)を勉強していただいて、「戦友」のようなBLソングを発表していただきたいなと思います。

男色の日本史――なぜ世界有数の同性愛文化が栄えたのか

男色の日本史――なぜ世界有数の同性愛文化が栄えたのか

 
武士道とエロス (講談社現代新書)

武士道とエロス (講談社現代新書)

 
男色(なんしょく)の景色―いはねばこそあれ

男色(なんしょく)の景色―いはねばこそあれ

 

*1:22ndシングル「カタルシスト」のカップリング曲